ハラスメント研修eラーニングの料金相場と従業員数別の総額

ハラスメント研修の費用は、形式(集合研修かeラーニングか)・受講人数・最低利用単位の3要素で決まります。この記事では料金の決まり方と、自社料金の公開例を説明します。

2026年10月1日のカスタマーハラスメント対策義務化を控え、研修費用を調べている経営者・総務担当の方に向けた記事です。

料金を公開している会社は多くありません。当社が2026年9月にハラスメント研修を扱う38社のWebサイトを確認したところ、料金を明示していたのは2社でした(当社調べ)。

費用を決める3要素

研修費用は、次の3つの組み合わせで決まります。

要素 内容
形式 講師派遣型の集合研修か、オンラインで視聴するeラーニングか
人数 受講する従業員の人数
最低利用単位 1回あたり・1社あたりで課金される最低金額や最低人数の有無

同じ人数でも、この3要素の組み合わせ次第で総額が数倍変わることがあります。見積もりを比較する際は、この3項目をそろえて確認する必要があります。

集合研修とeラーニングの相場構造

集合研修は講師派遣型が中心で、1回あたりの費用がかかります。金額は講師と時間数で決まり、これに講師の交通費や資料印刷費が加算される場合があります。

会場を用意する場合は、会場費が別途発生します。人数が増えても1回あたりの費用は変わりにくい一方、開催日に全員を集める必要があります。

eラーニングは1人あたり課金が中心です。1人あたり数千円程度からという価格帯が多く見られますが、最低利用単位(最低契約人数や初期費用の有無)が会社によって異なり、これが総額に影響します

最低契約人数が設定されている場合、実際の受講者数がそれを下回っても最低人数分の費用がかかります。初期費用が別立てになっている会社もあり、見積もりの内訳を確認しないと総額が分かりにくい構造です。

料金を公開していない会社が多い

前述のとおり、当社が確認した38社のうち料金をWebサイト上に明示していたのは2社でした。

多くの会社は「お問い合わせください」という案内にとどまり、問い合わせて初めて見積もりが提示される形式です。

人数や条件で金額が変わるため公開しにくい事情はありますが、比較する側は最初の情報収集の段階で費用感をつかめません。

自社料金の公開例

株式会社リバラクトの「ハラスメント対策オンデマンド研修」は、料金を基本額と加算額の形で公開しています。

基本額は1社33,000円(税込)で、受講者10名までが対象です。11名目以降は1名につき3,300円(税込)が加算されます。受講者が10名未満でも、基本額は同額です。

受講者数 総額(税込)
5名 33,000円
10名 33,000円
20名 66,000円

従業員数別の総額と1人あたり単価

人数別の総額と1人あたりの実質単価を表にすると、次のとおりです。

受講者数 総額(税込) 1人あたり
5名 33,000円 6,600円
10名 33,000円 3,300円
15名 49,500円 3,300円
20名 66,000円 3,300円
30名 99,000円 3,300円
50名 165,000円 3,300円
100名 330,000円 3,300円

10名までは基本額33,000円の中に収まるため、人数が少ないほど1人あたりの単価は下がります。11名目以降は1名につき一律3,300円の加算です。

誰が受講対象か。人数の数え方

受講対象者は2種類に分かれます。

カスタマーハラスメント対策研修(全従業員向け) は、接客・電話対応など、社外の相手と接する業務がある従業員全員が対象です。

ハラスメント対策研修(管理職向け) は、部下を持つ人(職場のハラスメント・求職者等セクシュアルハラスメントへの対応を含む)が対象です。

1名分の申込みで、この2つの講座はどちらも視聴できます。管理職が接客業務も兼ねている場合、その人を2名分として数える必要はありません。人数は重複計上せず、在籍する従業員のうち受講させる人数の合計で数えます。

上の表の「受講者数」は、この重複を除いた実際の申込人数として読んでください。

人数が増えても会社側の作業は変わらない

名簿提出・周知・実施報告書の保管という3つの作業は、受講者数にかかわらず同じです。

作業項目 5名の会社 50名の会社
名簿提出 1回(5名分をまとめて提出) 1回(50名分をまとめて提出)
周知の方法 個別に案内すれば足りる 掲示・朝礼・一斉メールなどで案内
実施報告書の保管 1部を保管 1部を保管

名簿提出も実施報告書の保管も1回で完結するため、50名の会社が5名の会社の10倍の事務作業をこなすわけではありません。増えるのは名簿に記載する行数だけです。

受講にかかる時間コストの概算

会社が受講を義務づける研修の時間は厚生労働省が示す労働時間の考え方では労働時間にあたり、賃金の対象になります。金額換算は時給が会社ごとに異なるため、ここでは延べ受講時間だけを示します。

カスタマーハラスメント対策研修(全従業員向け)は約75分(1.25時間)、ハラスメント対策研修(管理職向け)は約63分(1.05時間)です。管理職は両方を受講するため、1人あたり138分(2.3時間)かかります。

以下は、従業員のうち2割が管理職と仮定した場合の延べ受講時間です。実際の管理職比率で計算し直してください。

従業員数 一般(全従業員向けのみ) 管理職(両講座) 延べ受講時間
10名 8名 2名 14.6時間
30名 24名 6名 43.8時間
50名 40名 10名 73.0時間

延べ受講時間は「一般の人数×1.25時間+管理職の人数×2.3時間」で計算しています。1話5分前後に分割されているため、休憩時間の合間に少しずつ受講を進めることもできますが、その時間も労働時間として扱う点は変わりません。

従業員10人前後の会社は就業規則の整備も並行して必要になる

就業規則の作成・届出義務は、常時10人以上の労働者を使用する事業場に課されます(労働基準法第89条)。これはハラスメント対策の改正とは別枠の、一般的な労働法のルールです。

従業員10人前後の会社は、この境界にちょうど該当している可能性があります。研修は義務項目のうち周知・教育の部分を埋めるものであり、就業規則の作成・届出義務とは別の対応です。

就業規則がまだない場合は、研修の導入と並行して整備を進める必要があります。自社で条文を作らない場合は、社会保険労務士に作成を依頼します。

料金に含まれるもの・含まれないもの

料金に含まれる範囲と、含まれない範囲を分けて確認しておくと、追加費用が発生する場面を事前に把握できます。

区分 内容
含まれるもの 2講座30話(カスタマーハラスメント対策研修・ハラスメント対策研修)、理解度チェック、受講ログ、実施報告書、義務項目の穴埋めテンプレート5文書
含まれないもの 就業規則の改定、社会保険労務士による適合判断、相談窓口の運営

就業規則の改定は社会保険労務士の独占業務にあたるため、研修とは別に依頼する必要があります。相談窓口の運営も、研修とは別枠の体制整備です。研修は義務項目のうち周知・教育の部分を埋めるもので、対応の一部を埋める位置づけです。

受講時間は労働時間になる

会社が受講を義務づける研修の受講時間は、雇用形態を問わず厚生労働省が示す労働時間の考え方では労働時間にあたります。正社員・パート・アルバイトのいずれも対象で、就業時間内に受講させるか時間外に受講させて別途賃金を支払うかを研修導入時に決めておく必要があります。分割受講の考え方など詳しくはこちらの記事で解説しています。

よくある質問

Q. eラーニングと集合研修、どちらが安く済みますか。

人数によって変わります。少人数であれば1人あたり課金のeラーニングが総額を抑えやすく、大人数を一度に集められる場合は1回あたり定額の集合研修が有利になることがあります。最低利用単位の有無も確認してください。

Q. 見積もりを比較するときに確認すべき項目は何ですか。

形式・対象人数・最低利用単位の3つです。加えて、初期費用の有無、視聴期限、修了要件(理解度チェックの有無など)、納品物(実施報告書やテンプレートの有無)も比較対象になります。

Q. 料金に「基本額+加算」という形式を使うのはなぜですか。

受講者数が変動しても総額をその場で計算できるようにするためです。最低利用単位(10名まで33,000円)を基本額として示し、それを超えた分だけ加算する形にしています。

Q. 受講者数が10名を少し超える場合、11名で契約したほうが得ですか。

得にはなりません。1名あたりの単価は、11名以上では常に3,300円です。10名以下は総額が33,000円で固定なので、人数が少ないほど1人あたりは高くなります。実際に受講させる人数分だけを申し込む方が、名簿の管理は簡単です。

Q. 従業員数と受講者数が一致しない会社はどう計算すればよいですか。

表の「受講者数」に、実際に受講させる人数(接客・電話対応がある従業員と管理職の合計、重複を除く)を当てはめて計算してください。33,000円+(受講者数−10)×3,300円という式で、10名を超える場合の総額を算出できます。

Q. 年度の途中で人数が増えた場合、追加費用はどうなりますか。

同じ単価(1名3,300円・税込)で随時追加できます。年度ごとの料金であり、未受講分の繰越はありません。

Q. この記事の内容は、いつ時点の情報ですか。

2026年9月時点の情報です。相場に関する記述は業界動向の目安であり、断定的な数値ではありません。自社の状況に合った研修選びについては、管轄の労働局か顧問の社会保険労務士に確認してください。</content>

高畠 将大

代表取締役

高畠 将大

小樽商科大学卒業後、2011年に雪印メグミルク株式会社へ入社し、海外事業所の新規立ち上げに携わる。2018年に個人事業主として独立し、マーケティング・ブランディング支援などを手がける。2024年に株式会社リバラクトを創業、代表取締役に就任。

自社での対応が難しい部分は

ハラスメント対策オンデマンド研修

2026年10月1日から義務になるカスタマーハラスメント対策・求職者等セクシュアルハラスメント対策に対応。全従業員への周知と、伝えた記録の保存が一度にできます。

1社33,000円(税込)から、周知も記録も一度に完了します。

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