無料のカスハラ対策ポスターの入手先を一覧にする
厚生労働省の「あかるい職場応援団」にある人事担当者向けの資料ダウンロードのページに、カスハラ対策ポスターがPDFで載っています。
ページに利用料の記載はなく、2026年10月23日の時点で、登録や決済なしにPDFを取得できました。掲載日の表示はありません。
業種別のポスターは業種別の取組支援のページに、東京都のポスターは広報物ダウンロードのページにあります。
| 名称 | 発行元 | 中身 | 向け先 |
|---|---|---|---|
| NO!カスハラ(総合版) | 厚生労働省ほか関係府省庁 | 2026年10月1日から措置が義務となる旨の告知。相談窓口の記入欄あり | 社内・店頭とも。区分の表記なし |
| ポスター①〜⑥ | 厚生労働省ほか | 「STOP!カスタマーハラスメント」。説明と意見を伝えるポイント3点。⑥は絵を描き込む雛形。窓口欄なし | 顧客 |
| 宅配業向け(ステッカーあり) | 業界団体・国交省・厚生労働省 | 「NO カスハラ!」と注意する言動4点。窓口欄なし | 宅配業の顧客 |
| スーパーマーケット業界向け(2種) | 業界3団体・経産省・厚生労働省 | コメント記入スペースありとなしの2種 | 記載なし |
| 東京都の顧客等向け | 東京都 | 東京都条例(令和7年4月1日施行)の告知。窓口欄なし | 顧客等 |
| 東京都の従業員向け | 東京都 | 「すぐに会社に相談しましょう」。窓口欄なし | 従業員 |
ポスター①〜⑥の掲載欄には、措置を義務付ける法改正の成立前の内容である旨の注記があります。義務化の告知を含むのは総合版です。
東京都の顧客等向けは条例の施行告知なので、東京都外の事業所では文面が自社に合うか確かめてください。
総合版「NO!カスハラ」の相談窓口欄の書き方
会社の相談窓口を書き込む欄があるのは、確認した範囲では総合版の「NO!カスハラ」だけです。総合版は、上で紹介した資料ダウンロードのページから入手できます。下部の「当社のハラスメント相談窓口はこちら」の枠が空欄で、会社が連絡先を書き込みます。
小さな注記は、連絡先を記載することと、窓口がない場合はハラスメント対策の取組を進めることを促しています。
書く前に決めるのは次の3点です。
- 窓口をあらかじめ定める。指針4(2)イが求める措置です。指針は、他のハラスメントの相談窓口と一体的に設置することも考えられるとしています
- 連絡先を書く。担当部署名・電話番号・メールアドレスが例です。書き方の公的な指定はなく、この例は弊社の整理です
- 担当者が適切に対応できるようにする。指針4(2)ロの措置です。連絡先を書くだけでは足りません
出典の明記など、ポスターの利用条件
ダウンロードページの冒頭に、ポスターは「職場での指導や勉強会等にてご活用ください」とあります。社内や店頭の掲示は、この使い方に近いと読めます。
| 項目 | ページの記載 | 読み方 |
|---|---|---|
| 出典 | 「出典を明記した上でご利用ください。」 | ロゴや発行元の表記を消さずに使う |
| 営利目的 | 「営利目的でのご使用はご遠慮ください。」 | 罰則や定義の記載はない。営業資料や有料教材への転載は当たる可能性がある。公式の判断は見当たらない |
| 改変 | 記載なし | 窓口欄への書き込みは想定されている。ロゴを外す、文言を変えるなどは不明 |
| 東京都のポスター | 条件の記載なし(このページ) | 利用前に東京都に確認する |
自社の掲示が営利目的に当たるかは、定義がなく判断できません。迷う場合は、サイトの「ご意見・ご感想」から厚生労働省に問い合わせてください。
従業員向けと顧客向けで貼る場所を分ける
ポスターを貼る場所を定めた公的資料は見つかっていません。次の表は、指針とQ&Aの書きぶりから整理した例です。
| 項目 | 従業員向け | 顧客向け |
|---|---|---|
| 使えるポスター | 総合版(窓口欄に記入)、東京都の従業員向け | ①〜⑥、業種別、東京都の顧客等向け。総合版も区分の表記はない |
| 貼る場所の例 | 事務所、休憩室、バックヤード | 入口、レジ、受付カウンター |
| 義務かどうか | 方針の周知は雇用する全ての労働者に必要 | 義務ではなく、指針が「効果的」とする取組 |
| 注意 | 顧客対応のない部署の人にも届く場所に貼る | 文面は顧客への呼びかけで、社内の方針や窓口は載っていない |
解釈事項(Q&A)の問8は、方針の周知・啓発を所属部署や雇用形態を問わず、雇用する労働者の全てに行う必要があるとしています。
店頭にしか貼らないと、事務所の人に届かない可能性があります。これは問8からの推論です。
ポスターを貼るだけでは措置義務を満たしたことにならない
2026年10月1日から、事業主はカスハラ防止の雇用管理上の措置を講じなければなりません。根拠は労働施策総合推進法第33条、内容は厚生労働省の指針の4です。
| 指針の項 | 措置 | 内容 |
|---|---|---|
| 4(1) | 方針等の明確化と周知・啓発 | 労働者を保護する方針を明確にして周知し、カスハラの内容と対処の内容も周知する |
| 4(2) | 相談体制の整備 | 相談窓口をあらかじめ定めて周知し、担当者が適切に対応できるようにする |
| 4(3) | 事後の迅速かつ適切な対応 | 事実確認、被害者への配慮、再発防止 |
| 4(4) | 抑止の措置 | 悪質なものへの対処方針を定めて周知し、対処できる体制を整備する |
| 4(5) | 併せて講ずべき措置 | プライバシーの保護と、不利益取扱いの禁止の周知 |
ポスター1枚で足りると書いた公式の記述は見つかっていません。ポスターで伝わるのは4(1)や4(2)の周知の一部にとどまると考えられます。
指針が方針の周知の例に挙げるのは、社内報・パンフレット・社内ホームページなどへの記載と、研修・講習の実施です。確認した範囲ではポスターは例示されていませんが、禁止もされていません。
Q&Aの問20の更問は、業界団体の業種別マニュアルを配るだけでは、措置を果たしたことにならないとしています。自社の実情に応じて方針と対処内容を定めて周知する場合に、措置を果たしたことになるという答えです。
ポスターを名指しした回答は見つかっていませんが、既製の資料を配るだけでは足りないという同じ考え方が当てはまる可能性があります。
「ポスターを貼らないと違法」とも言えません。掲示を義務とする記述は見つかっていません。措置を講じていない場合は、労働局の助言・指導、勧告(法第42条)、社名公表の順に進み得ます。
顧客への周知は義務ではなく「効果的」とされる取組
指針4(1)イは、方針を顧客等に周知・啓発することを「効果的と考えられる」としています。義務の書きぶりではありません。
Q&Aの問7も、顧客等への周知までは義務付けていないと答えています。そのうえで、指針が「効果的」としているので、事業主には指針の記載を踏まえて適切に対応してほしいとしています。
ポスターのほかに会社が決めておくこと
- 方針を文書にする
- 相談窓口と担当者を決める。ポスターの窓口欄には、ここで決めた連絡先を書く
- 悪質な場合の対処方針を決め、対処できる体制を整える(指針4(4))。対処の内容としては、指針4(1)ロが、一人で対応させないこと、録音・録画、犯罪に当たりうる言動の警察への通報などを例に挙げています
- 不利益取扱いの禁止とプライバシーの保護を周知する
- 以上を雇用する全ての労働者に周知する。ポスターはその手段の一つに使えます
弊社のハラスメント対策オンデマンド研修の料金は、1社33,000円(税込・受講者10名まで)、11名以降は1名3,300円(税込)の加算です。全従業員向けの講座は全15話で、指針が周知の例に挙げる研修・講習に使えます。
よくある質問
Q. カスハラ対策ポスターは、登録や費用なしでダウンロードできますか。
ページに利用料の記載はなく、2026年10月23日の時点で、登録や決済なしにPDFを取得できました。出典の明記が求められ、営利目的での使用はご遠慮くださいとされています。
Q. ポスターを貼らないと罰則がありますか。
掲示を義務とする記述は見つかっていません。義務なのは指針の措置を講じることです。講じていない場合は、助言・指導、勧告、社名公表の順に進み得ます。刑事罰はありません。
Q. ポスターを店頭に貼れば、従業員への周知も済みますか。
従業員への周知にはなりません。方針の周知は雇用する全ての労働者に必要で、店頭のポスターに社内の方針や相談窓口は載っていません。
Q. この記事の内容は、いつ時点の情報ですか。
2026年10月時点の情報です。自社の対応が要件を満たすかは、管轄の労働局か顧問の社会保険労務士に確認してください。